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2007年04月25日    コメント ( 3 )

よくある質問にお答えします。

ネット上で色々と活動しているため、しばしば同じ様な質問をいただきます。その都度、メールでお返事をしておりますが、ネット上にも書いてしまう事にしました。

少しきつめの文章に感じるかもしれませんが、その辺はご了承下さい。また、ここに記したことはあくまでも私個人の考えですので、参考程度になさってください。



まず、一番良くある質問から。

「私もスウェーデンで家具の勉強をしたいです。ちなみに経験はありません。」
「スウェーデンで家具作りになることを決めました。まだ経験はありませんが、やる気はあります。」

要約すると、”経験は無いけれども、留学したい”という事ですね。

私の答えは。。。

あなたがよほどの天性の才を持っているのでなければ、いきなり外国へ行くのは絶対に止めるべき。

物作りを学ぶ事は、語学を学ぶのとは大きな差があります。まずは物作りの大変さを、日本にいる間に知ってから考えるべきです。

家具でも陶芸作品でも、ショールームに並んでいる物を見れば、素敵だし、良いことばかり夢想してしまいますが、実際は何時間、何日、場合によっては何ヶ月もかけて一人の世界の中で、地道に超地味な作業を、根気よく続けるのが現実です。それが出来るかを判断することは特に重要です。我慢強いから大丈夫!なんてレベルではなく、むしろ夢中になって時間を忘れられるくらい、その世界に没頭できるくらいじゃないと、大したことは出来ないでしょう。

最低1年は、物作りを経験した方が良いと思います。あなたが秘めた天性の才をお持ちならば、なんとかこなせるかもしれませんが、もうちょっと考えてみる時間はあるはずです。 手に小さな怪我をすることなんて日常です。爪の中が真っ黒になる(笑)のを嫌がっているようではやっていけません。





次にありがちな質問。
「私も外国で勉強したいです。でも、英語はほとんど出来ませんが大丈夫ですか?」

なんてチャレンジャーな質問(笑)だと思いますが、少なくとも、語学に自信がないなら、説明や、手本を見ただけで理解できる実力(要するに家具作りの経験)があった方が良いでしょう。もしくは、家具製作の知識が少なくても、ばっちり会話および理解できる語学力を持ちましょう。どちらも欠けているようでは、どこへ行っても、毎回かなり苦労しますし、時間の無駄です。

でもですね、時々、会話力も、経験もそれほど無いのに、楽勝で皆の中に溶け込んで日々を楽しめてしまう人がいるんです。やっぱり才能(残念ながら、私にはこういう物は無いようです)なのかなーと愕然としてみたりもします(笑)。 逆に、言葉などは全く問題なくても、人付き合いが全然ダメとか、即日ホームシックという場合もありえますね。





「カペラゴーデン(もしくはスウェーデン)こそが、私の求めていた場所だと感じました」

私のブログ内の記事や、JDNレポート、さらには様々な雑誌に掲載された記事の影響は非常に大きいようです。あれを見てしまったら、誰だって夢を持ってしまうでしょう。しかし、私はあえてマイナスのイメージを持つ事は書かないようにしています。もちろん、学校生活バラ色なんて事も書いていませんが、不満や愚痴を書いても、読んでいる方は面白くないですし、私自身もそういう事を書きたいとは思っていません。

留学前はやる気満々でも、現地で生活し始めると大抵は色々な点で壁に突き当たります。そういう事が(ほぼ確実に)起こりえる事を、考え、対処していく力はある意味、作品製作よりずっと重要です。これこそが留学生活の一番の糧になる物です。





「まずはじめにカペラゴーデンのサマーコースに行ってみようと思います」

これは正しい選択肢だと思います。サマーコースは木工経験を問いませんので、外国人のいる中での生活、物作りを一日中やることが自分に向いているかを知る良い機会になると思います。いきなり全て(ちょっと大げさですね)を捨てて外国へ行き、ついて行けなくて挫折、お金や時間を無駄にして帰ってくるよりは遙かに有用です。ただし、サマーコースはあくまでも、短期の体験コースだということも忘れないで下さい。





「日本で家具工房で働いています。 本場で働きたいのですがお勧めの会社とかはありますか?」

厳しいようですが、スバリ書きます。
こちらではEU国籍でない者が働く事は、非常に難しいというのが現状です。雇用すると言ってもらえたとしても、労働ビザが下りなかったという話は珍しいことではありません。

家具職人などは全世界に山のようにいます。それなのに、素性の知らない、実力も不明、言葉がうまく通じるかも分からない外国人を雇おうと考える奇特な工房は、かなり限られるでしょう。外国人(非EU人)を雇うことで、EU人の家具職人が職を得る機会を奪う事にもなりますし、補助金やら保障などの点でもおそらく雇い主には不利益が生じます。当然ながら、移民局(入国管理)はビザの発給をかなり厳しくするはずです。

よって、あなたが余程恵まれた運を持っていて、ずば抜けた実力、仕事に全く支障のない会話力などを持ち、且つ、それでも雇いたいと思ってくれる人を見つけることが出来ない限り、いきなり働かせてもらおうということは無茶でしょう。

最初は学生として勉強しながら、コンタクト先を探したりするのが、現在考え得る最善の策だと思います。

ただし、あなたがヨーロッパの国籍(私はドイツ生まれですが、国籍は日本です)を持っていたり、ヨーロッパ人と結婚しているようでしたら、幾分は楽になるはずです。





もうひとつ、よく頂く質問がこちら。
「家族も子供もいて、学生なのにどうやって生活しているのですか?私も家族持ちですが、留学をしてみたいので、とても気になります。」

これは答える必要は無いかもしれませんが、本当に良くある質問ですので、ここに記しておきます。

もちろん私も当初は、典型的な日本人留学生と同じく、両親からの補助を受けていました。しかし、滞在も延び(そろそろ8年目)、結婚し、子供まで持つようになった今は、なんとか自活できるようになっています。

まず、大変助かるのがスウェーデンの公共福祉システム。育児手当や、育児休業手当(私の場合ならば、休学手当)が日本とは比べものにならないくらい充実しています。スウェーデンでは子持ちの大学生なんて、けっして珍しくありません。当然ながらそれに見合うだけの税金(消費税に相当する付加価値税25パーセント。所得税なら収入の半分とか)を納めているからこそ、得られる物でもあります。

ネット上の執筆業や、時々お話を頂く雑誌取材のお手伝いなども生活費の足しになっています。また、ヤフオク出品をし、お小遣い稼ぎもしています。これらがあれば、贅沢は出来ないまでも、生活をしていくことができるわけです。

ブログを書くのは趣味的要素も大きいですが、目的はそれだけではありません。カメラで遊びまくっていますが、遊ぶことだけが目的ではありません。スウェーデンでノンビリしているように見えるかもしれませんが、どれも無駄にならないようにしています。やることが多いので、かなり大変ですが、これらの経験は将来確実に役立つことばかりなので、楽しめています。カズエママ曰く、”頭を使えばなんとかなる”そうです。

しかし、スウェーデンの税金は高い。。。さらに日本円がスウェーデン クローナに対して非常に弱くなってきている。。。私がスウェーデンに来た頃は一万円は800クローナくらいの価値があったのに、なんと今は550クローナ前後。これはかなりきついです(笑)。

と、久しぶりにたくさんの文章を書きました。参考になりましたら幸いです。今後も追記もしくは、別のエントリーとして書き足すかもしれません。


 
 

コメント

はじめてコメントさせていただきます。JDN経由でこちらのサイトをみつけてから、毎回楽しみに拝見せていただいています。可愛らしいお子様たちですね。

今回のエントリーにはひどく同感しました。私はオランダの美学校を卒業し、現在もオランダで制作をつづけているのですが、ネットで日記(当時はブログがまだ普及していなかったので)をつけているときはよく同様の質問がありました。ひどいときは、「○○市にある画材屋さんの場所を教えてください」など。私は学校探しから何から、自分ひとりで時間をかけてやってきたので、あまりに安易な質問には嫌な気持ちにさせられました。

見えないところでの努力や苦労もあるのだということ、やっぱり察して欲しいものですよね。とくに「ものづくり」という孤独な作業、たいへんなことだと思います。初めてのコメントなのに長々とすみませんでした、、、

これからのご活躍をお祈りしています。

投稿者 Haru


どもども。久しぶりにコメント入れます。最近忙しかったもので…。

やはり、いろんな質問が多いんですね。スウェーデンって憧れの国だから、みなさん行きたがってますね。個人的にはボルボの本社を見てみたいけど。
自分も昔はインドに3年ほどいました。といってもオヤジの仕事の都合ですけど。はじめはヒンドゥー語はチンプンカンプンでしたけど、現地に住んでると慣れてくるもんで、英語とヒンドゥー語を覚えました。しかし帰国すると完全にリセットしました。

自分も将来は海外に移住したいです。オヤジもタイに引っ越しをするとかしないとか。老後はやはり海外で優雅に年金生活なのか。でも自分は海外で仕事をしたい。近所に住む中国人やトルコ人といろんな話をしているので、今のうちに仲良くなってインターナショナルな生活を目指すぞ〜。

投稿者 フミト


Haruさん
はじめまして。そうですね、質問に答えないということはありませんが、時々、挨拶もなく質問だけというようなメールをいただくと、ちょっと寂しいですね。
確かに孤独な作業ですが、この点、僕は楽しめるタイプみたいなので大丈夫そうです。これからもよろしくお願いします。

フミトさん
こんにちは!
僕もボルボの本社に行ってみたいです。どこにあるのでしょうか(笑)?歴代の車が並んでいるのかな。
海外で年金生活という話はよく聞きますが、実際、可能なのでしょうか?ヨーロッパとかはそんなに甘くないと思いますが、アジアだと経済力があればできるのでしょうか?

投稿者 Ikuru


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