MENU


2006年08月21日    コメント ( 0 )

まだまだ実験。ボケ具合もチェック編。

昨日のエントリーには大変多くのご意見、ご助言、リクエストをいただきました。それらを今後の実験内容に加味していきたいと思います。

まず、前エントリーでは、
”仮想の傷を作って検証”と申しましたが、”傷や、ゴミによって入射光が結焦できない状態、もしくは入射自体を妨げられている状態をシミュレートしている”と言った方が良いようです。

傷は光を拡散させてしまいます(結焦できない)が、僕が実験で行っている方法(マジックや修正液でマークする方法)は、光の入射を妨げはしても、光軸を変化させてはいないだろうという理屈です。

が、僕は油性マジックで描いた分は、光軸の変化も起きているのではないかなー、とも期待しています。見た目には分かりませんが、マジックによる塗膜はデコボコしているはずです。よって、入射できた光はレンズ設計時に想定された入射角とは違う方向へ行っている(要するに傷を通った光の様に散乱している)のではないか、と。たぶん、おそらく(笑)。。。

今回の撮影セッティングは、皆さんからのご意見を考慮して前回とは違う物にしてみました。

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8

これらが今回の被写体。前回との違いは、奥行きがある事。絞りの変化によってボケ方の様子を見る事が狙いです。

注:
前回同様、TTLフラッシュによる不安定な露光は無視してください。

060821_02_non22.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F22

まずは、レンズに細工を施していない通常の状態で描写チェック。ピントは赤いブリオ製ワンちゃんの胴体先端(ろくろに取り付けた跡である十字です)に合わせています。

060821_03_non11.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F11

今回の要チェック項目は背景の紙。モユルの為に用意した、あいうえお表です。

060821_04_non56.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F5.6

フラッシュは天井に向けて光を拡散させています。

060821_05_non28.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F2.8

これが絞り開放。

060821_06.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T*

まずは前玉に油性マジックでこのように派手に書き込み。前回テストでは影響が見て取れなかったので、今回は大胆にいきます。

この状態で想像できる事は、
広い範囲を占有しているので、光量不足が起きる。

レンズ面積に対する比率を計算すれば、光量の落ちた量が分かります(もちろんマジック部は透過しないとして)。EOS 20Dの撮像センサーの大きさから考えると、光量はかなり落ちている事でしょう。半分(一絞り)くらいかなあ。

060821_07_pen_bred22.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F22

さっそく撮影。
明らかに入射光が減っていると判断できます。ただし、マークした場所以外からの光はちゃんと結焦しているので、被写体は確認できています。部分的な露出不足とも言えるのかな。

060821_08_pen_bred11.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F11

二絞り開けると、先ほどと比べて入射光が4倍になったので、画像が安定してきました。

060821_09_pen_bred56.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F5.6

おおー、良いじゃない。と、思ったのですが、背景のあいうえお表に注目。文字に二線ボケが発生しています。

これから考察できる事は、
マジックの塗膜面を抜ける過程で入射光の光軸がずれた(傷に似た状態)。
もしくは or 及び
マジックの塗膜面の縁で回折が発生した。
と考えられそうです。

線として確認できるほどなので、塗膜面を抜けた光かな。一定厚(と想定)の塗膜面を抜けているので、その光たちは同じ所へ向かった事から像として見えていると考えます。(通常の傷だと、もっと散乱してしまうはずなので、はっきりとした二線ボケにはならないはず。)

060821_10_pen_bred28.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F2.8

他の部分では顕著な違いを見つけるのは難しいのですが、あいうえお表は分かりやすいですね。


カメラ: Canon EOS 20D

レンズ: Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T*

次の段階。前回より中心付近に密にした、修正液の点を配置。入射光を遮る厚さだと思います。

060821_12_whiteout_points22.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F22

修正液によって、入射量が減っているはず(おそらく0.1絞り分以下)ですが、当然ながら露光は十分。

060821_13_whiteout_points11.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F11

うーん、微妙に二線ボケが発生しているかな。上のオリジナルと見比べても判断は難しい。

060821_14_whiteout_points56.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F5.6

光の散乱が起きているとしたら、修正液周辺で光が回折しているからと想像。

060821_15_whiteout_points28.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F2.8

しかし、ツアイスレンズの描写は、いつ見ても素晴らしいなあ。

060821_16.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T*

以上を踏まえて、光を遮る面積を増やしてみる。

060821_17_whiteout_cross22.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F22

光量不足が発生しています。

060821_18_whiteout_cross11.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F11

まだ大きな差が確認できません。

060821_19_whiteout_cross56.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F5.6

ここで二線ボケを確認。

060821_20_whiteout_cross28.jpg

カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8
撮影データ: 絞り値 F2.8

しかし、先ほどのマジックで描いた物ほど、二線ボケはシャープではありません。よって、修正液の縁を回折して入射しているけれども、散乱が大きいと判断。

今回の実験からの考察。
傷によって散乱してしまった光は、おそらく今回の結果のように、目に見えるほどの状態にはならないのではないか(もちろん、傷の程度、量にもよる)。実質、問題なしと言えそうです。

頂いたコメント、ご指摘からさらに追加。
しかし、強烈な逆光時などに、派手に光が散乱すると実感できるほどの状況になり得ます。これを考えると、傷になっている部分を光が通らないようにしてしまうのが、良いそうです。光が入射できなければ、光は拡散しない。そして画像への影響も最低限に抑えられる。うーん、なるほど!

色々考えていると面白いのですが、眠くなってきましたので、今日はこの辺で。。。コメント大歓迎です。僕の足りない知恵の補足をお待ちしております。

次回はリクエストが多かった後玉に手を入れちゃいます。


 
 

コメント

コメントをお願いします