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2009年09月30日    コメント ( 3 )

映画監督ベルイマンの遺品オークション

ここ数日、スウェーデンでは、ある前代未聞の大事件の話題で、もちっきり(朝日新聞の記事)なのですが、僕がそれよりも注目していたのが、昨日開催されたオークション。日本帰国に向けて、資料集めをしているのだけど、このオークションに出品される物たちは値段も手頃で欲しい物ばかりだったからです。

二年前に亡くなった巨匠Ingmar Bergmanイングマール ベルイマンの遺品オークションです。彼が亡くなった自宅の家具調度などが丸々出品されました。幾つか落札できたら良いなあと思っていたら、なんと競売商さえも予想していないほどの競札合戦になったんです。

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写真: Bukowskis

特にこれといった特徴も無いけど、素朴で綺麗な松の椅子10脚。予想落札価格(競売商が入札前の目安として提示する額。これによって大まかな価値が分かる)は10脚合わせて35000円でした。

この値段なら買っちゃおうと思っていたのに、落札価格はなんと250万円!

一桁間違えているわけではありません。落札者はさらに12%の手数料などを支払いますので、総額300万円近い(一脚30万円)支払い額になります。なんてことでしょう。

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写真: Bukowskis

チャールズ イームズの傑作ラウンジチェア。ベルイマンがここで寛ぎながら本でも読んでいたのでしょう。予想価格50万円 → 落札価格150万円。

間違いなく新品より高額です。

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写真: Bukowskis

これも良いなと思っていたGustavsbergのお茶セット。茶染みなどもあるし、特にコレクターズアイテムでもないモデル。予想価格2万円 → 落札価格20万円。

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写真: Bukowskis

これは高くなりそうだと思っていた王立劇場の模型。電動部分あり。

予想価格40万円 → 落札価格1300万円!
12パーセントの手数料だけではなく、作者への手数料(何パーセントだったか忘れたけど、たぶん落札額の5パーセント前後)も必要です。ざっと1500万円。。。

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写真: Bukowskis

マルムステンの書斎机Arkitekten。ベルイマンがここで脚本を書いたかも!?という期待(たぶんその通りでしょう)からか、予想価格25万円 → 落札額200万円!

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写真: Bukowskis

メルクリンのHOゲージの客車など。自走できる車両はたったの一台。狙い目かなと思っていたら、予想価格3万円 → 落札価格45万円。。。

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写真: Bukowskis

そして、前からずっと欲しいと思っているマルムステンのサイドボードSläden。必要ない時は収納できる綺麗な机(ただし、この写真は収納の仕方を間違えている)。かなり凝った作りになっていて、新品は非常に高価(25万円くらい)。

予想価格13万円 → 落札価格110万円。
とんでもない額になりました。新品を遙かに超える額。なぜでしょうか。答えは次。

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写真: Bukowskis

ベルイマン直筆による 落書き 書き込みと、サインがあるから。

この書き込みから想像できることは、この机は電話台として使われていたということ。メモ用紙が見つからなくて、直接書き込んだとしか思えません(笑)。

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写真: Bukowskis

ギャー、ゲレンデヴァーゲン!かっこいい!30年前のモデルで、走行距離は約9万キロ。予想価格80万円 → 落札額270万円
もう一台のメルセデスも立派な値段になっていました。

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写真: Bukowskis

もうこの辺で、とてもじゃないけど僕が参加できるレベルの競売ではないことがはっきりしてきました。冒頭の10脚の椅子とほぼ同じ、白の椅子8脚。

予想価格25000円 → 落札価格130万円

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写真: Bukowskis

じゃあ、これはどうだ!?
予想価格13000円(極めて無難な額) → 落札額20万円

何一つ落札することなく途中で撤退決定(笑)。

歴史に残るオークションになったと、翌朝の新聞に載っていました。どうやらベルイマンのファンや、コレクターが世界中から参加していたようです。たった350弱の出品数なのに、10時間近い競札(普通は一時間で100から150くらいは進む。15時スタートだったから、競売商はちょっと遅めの夕食くらいには帰宅できると思っていたことでしょう)になってしまったそう。休憩無し、日付をまたぐなんてスウェーデンでは極めて珍しいことだと思います。特に後者。

新聞に載っていた写真は、もう疲れたよーという顔をしている競売商の係員たちでした。


 
 

コメント

あははははは、これはもう笑うしか無いですね。オークションの恐ろしさ。
ファンやコレクターが参加して来ているという事は、勝者の呪いなんて考えもしないでしょうね。
しかしこの書斎机、優雅だなぁ…

投稿者 ts


Ikuruさん、ベルイマンの遺品、取り上げていただき感謝します !!
このオークション、無論、買えはしませんし、そうした嗜好もありませんが、ファンの一人としてベルイマンの生活を偲ぶことができありがたいものです。

私はさほど良い鑑賞者ではありませんでしたが、『ある結婚の風景』あるいは『秋のソナタ』以降、5時間を超える大作『ファニーとアレクサンデル』などの日本公開作品の際には岩波ホールに並んだことが思い出されます。

>マルムステンの書斎机Arkitekten
は、《C/M SCHWEDISCHE MOBEL》の130ページにあるものと同一でしょうか。
この書では1951年と記されています。
本ではあまり画質の良くない白黒写真ですので、この良質な画像はありがたいですね。

投稿者 aritisan


tsさん
本当にもう呆れるしかない状態でした。ビックリですよ(笑)。

aritisanさん
以前、ブログでベルイマンについて書かれていたような記憶がありますが、どうでしょうか?今回のネタに、お喜びいただき嬉しいです。

実は、その本を探しているのですが、見つからないんですよー。

投稿者 いくる


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