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2008年05月20日 コメント ( 13 )
トレーニングが始まる
これまでに何度も紹介してきましたが、モユルは自閉症との診断(このあたり参照)を受けました。
この数ヶ月、モユルは保育園に通い始め、僕たちは両親クラスなどで勉強をしてきました。そして今度は、モユルのトレーニングが始まりました。スウェーデンではこれをHabiliteringハビリテーリングと言います。「リハビリテーション」ではなく、「ハビリテーション」です。
分かりやすく言うと、「リハビリ」は事故などで障害を抱えた機能(以前は有していた)を回復するための訓練を指し、「ハビリ」は元々は有していない機能(もしくは苦手な事柄)を発展+強化して、生活を円滑に行うために行う訓練です。
これまでの面談などで、当面の目標が決まりました。「他の子が一緒の中でも意思表示をできるようにする」+「スウェーデン語をもうちょっと使えるようにする」のふたつ。はっきり言って超簡単な課題です。しかし、モユルの様な自閉症を抱えた子には十分なほどの難題なのです。これらを少しずつ出来るように練習していきます。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
場所はストックホルムにある自閉症児センター。言語療法士と心理療法士が担当で、参加者は僕たち家族4人全員と、モユルが通う保育園のティーナ先生(保育園での仕事は休みを取っています)。ティーナと一緒に電車に乗って来たので、モユルはもの凄く嬉しそうでした。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
トレーニング内容はこんな感じ。目の前の先生の手に、モユルが遊びたい車のオモチャがあります。
モユルが「くるま(ここではスウェーデン語)」と言えたら、褒めながら渡してあげる。これだけ。ただし、モユルはなかなか言えない。
先生がまず「くるま」と言いながらモユルに渡します。何度も、何度も繰り返します。必要なら200回でも繰り返すとか。しばらく続けた後、今度はオモチャだけを見せて、モユルの反応を待ちます。質問したり、話しかけたりはしません。モユルの反応を待つ。でも、まだ言えない。そしてまた「くるま」と言って渡す。
そのうち、モユルは小さい声で「く、くるま」とすごく恥ずかしそうに言えることが。そうしたら、皆でたくさん褒めてあげる
単純です。根気はいるけどね。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
モユルは、こういうオモチャを大好きなので、飽きずに繰り返すことができます。自閉症の子には一般的な特徴です。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
これも同じ。「ボール」と言えたら渡してあげます。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
チューブの中をグルグルと転がり落ちてくるのが面白いオモチャ。チーちゃんも参加中(笑)。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
モユルの診断結果から苦手な事が分かっている、模倣のトレーニング例。
先生と同じレゴブロックを、
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
先生がやったように、下の箱の中に落とします。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
なんとこれは、ご褒美付き。
モユルの好きな食べ物を持ってくるように言われていたので、リンゴをたくさん持っていったのですが、今一つの反応。そこで、部屋に用意されていたM&M´s(チョコレート)を出してみると、効果てき面。もう喜んで真似をします(笑)。
真似する→褒める→ご褒美。これを繰り返します。ご褒美をもらうために真似をするとなってしまいそうですが、まず行動をさせるという、きっかけ作りには強力な方法ですね。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
ティーナ先生に交代。複数色のブロックを並べて、同じ色のブロックを箱に落とすという様に難易度がちょっとアップ。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
ご褒美をもらえることだけではなく、ハンドル(人形の腕)を下げるとチョコが出てくることも楽しんでいます。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
机からちょっと離れたところに移動した箱へ、モユルもちゃんと投げ入れました。
カメラ: Canon EOS 5D
レンズ: Canon EF24-105mm F4L IS USM
そして、また褒めてあげます。照れているけど、嬉しそうなモユルの表情がわかりますね。こうやって少しずつ自信を持たせていきます。
お気付きの方もいるかと思いますが、この自閉症センターで行う訓練は、モユルの為ではありますが、モユルの為のトレーニングではありません。日々の生活の中で、モユルが意識せずに苦手な点を伸ばすことを手助けできるように、僕たちやティーナ先生を訓練しているのです。これが週一回のペースで来月まで続きます。
僕たちはここで学んだ考え方などを今後に繋げていくようにし、モユルはいつも通り、遊んでいれば良いというわけです。
そうそう、この日の晩の歯磨きは、いつもよりも念を入れてしっかりと行いました。ちょっとカロリー高すぎの訓練方法でした(笑)
コメント
偉い!偉い!頑張ってね〜!
投稿者 マー
チーちゃん何だかすごく楽しそう^^
甘いご褒美は大人の私も頑張っちゃう原動力です(笑)
褒めることって大事ですよね☆
モユル君、トレーニング楽しんで通えるといいですね!
Ikuruさん・ママもサポート頑張ってください!
投稿者 kaokao
ブログ読みながら涙が出そうです。
モユル君がんばれ!(がんばれっていったらいけないのかもしれないけど・・)
子育てって根気がいるものですよね〜
投稿者 まめ
ごぶさたです。ikuruさん
きっと大丈夫ですよ、モユル君
だって、モユル君だけでなく
お父さんもお母さんも「一緒に」成長していくんですから!
むろん、チーちゃんも!
投稿者 BUBU
楽しそうなセラピーですね〜
良い行動の直後にご褒美(おやつ、褒める)ってことはABAなんですね
先生も環境もすばらしいデス
投稿者 もえまん
「自閉症」とは解かりづらい言葉です。
他の人とのコミュニケーションが不得手で内にこもっている様に見えるからこの様に呼ぶのでしょうか。
ブログ内での説明からすると「才能突出人」ではないでしょうか。
先生の目を見ているカットが1枚ありました。
きっと元気に成長されるでしょう。
投稿者 はにかみ
そうなんですね。
知りませんでした。
でも、「誉める」という行為は本当に良いと思います。
私は、専門学校で生徒にデッサンを教えていますが皆最初は
「絵を描くのは苦手だ」と、思いこんでいます。
でも、辛抱強く一人一人の良い所を引き出して、絶対に他人とは比べたりしなければ
必ず笑顔でそれぞれが上達します。
「誉められる」と嬉しくないはずはありません。
そして、人は誰でも才能、良いところが絶対にあるはず。
それを見逃さず、誉めてのばして行けば良いと思います。
日本に戻ったらお絵描きを一緒にしたいなーと思いました。
投稿者 あやか
もえまんさんも書かれていますが、ABAみたいなトレーニングですね。
息子の為に生活にABAを取り入れてみようかと思っていたので
トレーニング内容を紹介してもらってよかったです。
日本でABAを教えてくれるところがあるのでコンタクトをとってみようかと
思います。
投稿者 みっきー
マーさん
ありがとうございます。
kaokaoさん
チーちゃんはすごく楽しんでいました(笑)。兄妹で遊ぶ様子も見ているみたいです。
まめさん
いやいや大丈夫ですよ。ありがとうございます。
BUBUさん
はい、僕たちも実際、前向きに考えながら楽しんでいます。
もえまんさん
どのようなシステムかは聞いていないのですが、そうなのかも知れませんね。なかなか楽しいです。
はにかみさん
あはは、本物の「才能突出人」になってもらいたいですね(笑)。
あやかさん
うん、褒めてあげることはとても良いことですね。特に小さな子供なら尚更です。
ぜひ、お絵かきをしましょう。
みっきーさん
なるほど、なるほど。僕も参考になりました(笑)。
投稿者 いくる
自閉症に関する支援の制度が変わってからのいい点を受けられたようですね。息子さん、ご家族が頑張っていいらっしゃる様子、嬉しく読ませていただきました。自閉症は、早期支援がとても大切です。今を大切にされてください。
うちは、ストックホルム在住で、スウェ-デンでの自閉症育児に関しては、ほんの少し先輩になるでしょうか。制度変革の狭間に陥って、うまく支援を受けられたとはいえないケ-スではないかと思います。学童期を迎えると、知的障害がない限り、個人的な支援が切られます。 今のうちに、できる限りのことをしておかれることを願います。無理をしない程度に、頑張ってくださいね。
投稿者 けいこ
けいこさん
こんにちは。スウェーデン在住なんですね。ご覧頂きありがとうございます。
投稿者 いくる
はじめまして・・・・ブログにおじゃまするのは初めてですが3年前に織物の関係で初めてスウェーデンに行くときに情報を得るため、ホームページを読ませていただいてました。今回はたまたまスウェーデンでの自閉症の状況を知りたくて調べていたらなんといくるさんのホームページに行き当たってしまいました。我が家でも次男が15歳で自閉症スペクトラムにあるアスペルガー症候群という診断を4月に受けたばかりで、ある程度の単語の意味は理解しておりましたが親としては現在おかれている彼の状況もさることながら、今後のことを考えて多少混乱しています。時々またブログにおじゃましたいと思っています。
投稿者 あるがまま
あるがままさん
そうですね、診断が出た当初は混乱すると思います。私もやっぱりそうでした。このブログ内にも時々、自閉症のことについて書いていますので、お役に立てることが少しでもあれば幸いです。こちらのページに関連事項をまとめてあります。
投稿者 いくる