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2008年03月21日 コメント ( 7 )
権利
今日も自閉症センターへ行ってきました。今回は僕たちの担当者との面会。どの様な機関かという話から、発達障害児を持つ親へのサポート、得られるサービスについての説明が行われました。
まだ内容を精査していないけど、軽く見ただけでもやっぱり充実しているなあというのが最初の印象。
注:復習がてらブログに書いていますので、あくまでも参考程度にご覧頂けると幸いです。日本語での正確な用語が分からない言葉もありますので、その辺を考慮してくださいね。内容もかなり僕の解釈で簡潔に書いていますので、勘違いもあるかもしれません。「訓練」という表記も合っているのかちょっと分からない
注2:初めての方や、ご存じでは無い方へ。息子のモユルは自閉症(参考リンク)なのです。
カメラ: Hasselblad 203FE
フィルム: Kodak 160VC
レンズ: Carl Zeiss Planar FE 110mm F2 T*
自閉症センター
僕たちが出入りしているのは6歳までの子供が専門の部署。作業療法士、医療カウンセラー、言語療法士、理学療法士、小児精神科医、特別教育教員などが一つのチームとして在籍しています。リストを見ると全部で40人くらい。
ここで得られること。
-コミュニケーションの訓練(イクル注:自閉症の子が一番苦手とする事です)
言葉、自分の気持ちを表現する、他の子が言っていることを理解する力の育成など
-社会性の訓練
相手の目を見てやり取りをすることなど、日常生活に関すること。
-新しいことを知る練習
新しいことに興味を持ち、それを伸ばす
-遊び
ルールのある遊びやゲームをする練習。
-ADL(イクル注:何の略か不明)
食事、睡眠、衣服の脱ぎ着やトイレなどの訓練
-運動
バランス力の向上、目と手を統合する力、這ったり、飛んだり、登ったり、ボールで遊んだり、描いたり、切ったりする訓練
これらのサポートを必要だと思ったら、もしくはそう判断されたら、その子供に合わせて、いつでも受けられる「権利」があるのだそうです。スウェーデンではこれらの訓練をハビリテーションと言っています。リハビリテーションは怪我や病気からの機能回復訓練ですが、ハビリテーリングは機能を伸ばすと解釈すれば良いのかな。
カメラ: Hasselblad 203FE
フィルム: Kodak 160VC
レンズ: Carl Zeiss Planar FE 110mm F2 T*
先ほどまでの内容は当事者の子供向けだけど、ちゃんと家族へのサポートも行われます。
-両親へ
子供を助けつつ伸ばしてあげられるような接し方の勉強だけでなく、様々な発達障害の知識を学ぶ勉強会、講座も企画されています(自由参加)。リストを見たら半年で70講座くらいあった。
-兄弟へ
さらに兄弟姉妹が自閉症への理解を深めるためのサポートも。(イクル注:親の注意はどうしても障害を持った子に向きがちなので、兄弟へ接する時間がおざなりになりやすいと聞きますので、とても良いことだと思います。)
-学校へ
子供の通う保育園や学校への専門家の派遣、サポート、教員教育など
当事者だけではなく、関係者も各種サポートを受ける「権利」があります。保育園はモユルを受け入れ続けるための補助金も申請します。
カメラ: Hasselblad 203FE
フィルム: Kodak 160VC
レンズ: Carl Zeiss Planar FE 110mm F2 T*
発達障害を持つ子と両親が受けられるサービス(法律)についても説明を受けまました。モユルには必要ない項目もたくさんあるけど、モユルよりもっと症状が重い子を持つ親には本当に心強いでしょう
-相談
-個人サポート(心を通じ合える関係を作るのが非常に苦手な自閉症の子には大事なサポート。友達の様に接してもらえる。社会性の訓練にもなるはず)
-介添人(例えば、世話を手伝ってもらうとか)
-短期滞在サポート(子供を預かってくれる。疲れ切ってしまった両親が休む時間を得ることができる)
-住居(必要ならばその子供/家族に適した場所を用意)
等などたくさんの項目。
必要な事を要求できる「権利」が定められています。
例えば僕が知った話を一例とすると、こんな事が。
筋力が低いことから字を書くのが苦手な子がいたとします。学校でみんなと一緒に座って学んでいる中、その子が字を書くのをサポートする要員も一緒に配置されるんです。これは凄いことだなと思います。指が上手く動かせないからといって、学校へ行くのを諦める必要がないんです。
カメラ: Hasselblad 203FE
フィルム: Kodak 160VC
レンズ: Carl Zeiss Planar FE 110mm F2 T*
他にもたくさんの情報が詰まった冊子をもらいました。
色々なサイトの情報から、医療サービス、子供の成長に伴って必要になってくる項目とか、たくさんの補助についての説明も載っています。
通院の為のタクシー代の援助とか、駐車許可証くらいは日本でもある事だけど、個人に合わせた家の改装費用(分かりやすい点ならエレベーターの設置とか、車椅子でも出入りし易い玄関など)の要求も当然の「権利」だし、車だって必要ならば買い換えられるでしょう。他にも驚いたのは四歳から18歳までのオムツが必要な子(障害を持った子)のオムツ代まで全額サポート。僕は想像もしない事案でしたが、重い障害の子の両親にとっては切実な問題でしょう。
どうやら、健常者と比べて別に必要になることは全てサポート対象になるみたい。
カメラ: Hasselblad 203FE
フィルム: Kodak 160VC
レンズ: Carl Zeiss Planar FE 110mm F2 T*
色々と見て、大きく実感したことを挙げると、
「金銭的負担が全く無い」と言っても過言ではないくらい。
上記してきた様に必要経費の補助もあるし、各種サポートは無料(たぶん)。さらに看病/世話の為の特別な手当ても用意されています。病気の内容、症状、看護の必要度によって額が変動するのだけど、特に重度の子の場合、最高額はなんと15万円/月(書くべきか悩みましたが、やっぱり具体的な事が分かった方が良いと思って記述。注:為替レートによって換算額は変わります。また、モユルは重度との診断は受けていません)。そして、それが病状などによって、3/4、1/2、1/4と減額されていきますが、小さな子供がいる家庭には比較的大きな補助額になるそうです(世話に必要な負担が大きいから)。支給額に納得がいかない場合はクレームを付ける「権利」もちゃんと明記されています。最高額で足りない場合もさらに要求可。
僕たちもこれを申請中で、「頂ければ御の字」というくらいに考えてしまうのだけど、モユルを診断した先生や、自閉症センターの担当者たちは、「遠慮せずに、私たちにはこれだけ必要なんだ」と要求して良いんだと言われました。日本だったら、あんまり要求しすぎると、お金に卑しいと思われかねないと言うと、「あなた達はこれらを受け取る当然の権利があるのだから、恥ずかしがったり遠慮する必要は全く無い」のだそうです。
確かに非常に多くの事を犠牲にしながら、世話や看病をしているのだから、それに見合ったサポートを得る資格があるのでしょう。モユルはそこまで超大変な子とは違いますが、重症児の看病の為に仕事を辞めなければいけない人(逆もある。仕事をしたいのに出来ないというケース)、寝る時間さえも見つけるのが大変な人でも、他の心配事をせずに看病にだけ力を注げますよね。
福祉社会の理想論として、こういう環境が述べられそうだけど、それが実現されているのを身を持って知り驚きました。モユルのお陰でこういう事を知る機会を得られたのかな。健康で何も心配の無い子と一緒なのが一番の幸せなのだけども、障害のある子を持ったとしても、同じだけの幸せを方法は違えども共有できるように考えられていると感じました。
もう一つ追加。スウェーデンでは公共サービスを受ける際、必要ならば通訳の申請をする事ができます。それも無料。モユルの診断が出るときなど大事なときには、やっぱり助かります(特に専門用語など)。学校の中で家具の話をしているならまだしも、病院でいきなり病理学の話になったら分からないって(笑)。言葉の問題で病院へ行く機会を失うことも減るでしょうね。
ごちゃごちゃして読みづらいかもしれませんが、 ちょっとやり過ぎ すごいぞスウェーデンというお話でした。ついでに今日の面談の復習+かずえママの勉強用とします。写真は天気の良かった数日前に撮影。滑り台で遊ぶこども達。←見りゃ分かりますね(笑)。
コメント
ADLは日常生活動作です。ものの本には、ADLとは「Activities of Daily Living」の略で、食事、排泄、着脱衣、入浴、移動、寝起きなど、日常の生活を送るために必要な基本動作すべてを指す。身体活動能力や障害の程度をはかるための重要な指標となっている。とありますよ。
本当にすごい充実振りですね。さすが福祉大国です。
そちらでは最近時々日本で見るような「介護疲れ」や、その先にある
悲しい出来事のようなことは起こらないのでしょうか。
いろいろな人がそれぞれ安心して生活できるサービスが充実してれば
高い税金でも許せる気がしますね。むしろ、だからこそなにかのときは主張して
サービスを受けることができる、みたいな・・・
投稿者 kaori
福祉面で充実している代わりに税金も高いんですよね?
日本も、高い税金でもそれがスウェーデンのように確実に正しく使われるのであれば
すべての人達が安心して暮らせるのに、と思います。
今の日本の現状は、とてもとても・・・。税金を私用に使用してる段階ですもの。
あ、話が逸れていきました・・・
なにより経済的にも精神的にもサポートが充実している様で安心ですね☆
またまたチーちゃんにやられました!あの滑り下りてきた時の顔☆
投稿者 kaokao
ほんとよね〜日本は自分の事しか考えない、お偉いさんばっかりだもんね
高い税金お確実に正しく使って、すべての人達が安心して暮らせるよに、
血税を大事に使って欲しいよね
投稿者 マーママ
権利には義務も当然ついてくる、サービスにはコストがついてくるのは当然として、今のところ何ともない自分(達)も、必要になった時の為に、また今サポートが必要な人たちの為に、コストは負担します(ニアイコール義務を果たします)、という意識も関係あるかもしれませんね。
すぐそばにいる人へのサポートも必要、家族も含めて社会として支える、という考え方もポイントでしょうか。これが仕組みとして実現されているのは凄いと思います。きっちり権利は行使して、この表情を育てていかれますように…
投稿者 ts
kaoriさん
なるほどADLはそういう意味なんですね。ありがとうございました。って、googleで検索してみたらすぐに出てくるじゃないですか(笑)!今度はちゃんと自分で調べてみます。。。
これらの充実したサポートは、介護疲れや周辺の負担を少しでも減らせるように考えられているんでしょうね。
kaokaoさん
はい、税金はめちゃくちゃ高いですよ。簡単に説明すると、付加価値税(日本の消費税に相当)は25パーセントです。4万円の物を買うと、税金が1万円で計5万円になります。日本の消費税が超安く感じるくらいです(笑)。さらに給料からは最低でも半分は税金に持って行かれますので、必然的に手取りは減りますね。所得が増えれば税負担はさらに増加するそうですが、僕はそこまでの高額所得者ではない(笑)ので詳しい率は分かりません。最高だと7割くらいかなあ。
日本の様に高所得でも将来の為に貯金が必要な社会と、貯金できるほどの収入は無くても生きていかれる社会と両極端で面白いです。
マーママさん
詳しくは分かりませんが、新聞などを見ているとやっぱりスウェーデンでも、この高い税を免れようとズルする事例が多いみたいですよ。
tsさん
そのとおりだと思います。普段から納税、就労などの義務(健康なときには社会全体で弱い者を保護)を果たしているからこその権利ですよね。高い税に不満があっても、サポートが必要になったときには意識が変わるでしょうね。
投稿者 いくる
ひゃあ 付加価値税が25%!?
給料からも、最低でも半分は税金に持って行かれるんですか!?
どちらにもメリット・デメリットがあるんでしょうけど、どっちが良いかって
聞かれると・・・ムズカシイなぁ。。
投稿者 kaokao
kaokaoさん
そうなんです。常日頃から25パーセントの世界にいると、日本へ帰った時なんて、もう天国です(笑)。
メリット、デメリットはあるでしょうね。ぱっと思いつくメリットは、弱い者にとっては非常に良い環境。デメリットは、ビジネスを志す者には非常に厳しい環境というところでしょうか。
投稿者 いくる